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東京の山・神奈川の山・関東周辺の山を夫婦で「気ままに山歩き」登山・ハイキング・トレッキングの山行記録です。

箱根・丸岳箱根外輪山・丸岳


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箱根外輪山・丸岳(1,156m) 
平成30年(2018)10月26日(金)2名

     

リュウノウギク

乙女峠~丸岳~長尾峠~桃源台のGPS軌跡

御殿場駅の改札を出て箱根乙女口へ降りる。御殿場駅前の広場は工事中であった。箱根園行のバス乗り場で待つがなかなか来ない。5~6人ほどの列ができる。バスは定刻より10分以上も遅れてやってきた。大型の高速バスで新宿から御殿場を経ての箱根園行である。「新宿からやって来るんだから、途中で渋滞することもあるよね。」と、なんとなく納得する。

乙女峠へのコース入口

乙女峠バス停で降りる。車道はカーブしてその先に乙女トンネルがあるようだ。道路をはさんだ向こう側に茶店が有ったので行ってみる。「ふじみ茶屋」という食堂と土産物屋である。トイレが隣接してあると思っていたのだが中に入らないと利用できなかった。この茶店の脇から乙女の鐘・展望台へ登る道がある。5分ぐらい登れば絶景の富士山が見えて、乙女の鐘もつけるようだ。
乙女峠へのハイキングコース入口はバス停を降りた50mほど前方にあった。道標に従い林道を行くと100mほど先に右に登る乙女峠への登山口があった。

ガラス細工のような、セキヤノアキチョウジ

樹林帯の中の登山道だから明るくはないがそこそこ整備されている。途中で鐘の音が聞こえた。先ほどの乙女の鐘なのだろう。ひたすら汗を流して到着したところは明るい峠道であった。小さな木造の展望台もあったが今日は曇り空で富士山は見えない。乙女峠の脇には昔の乙女茶屋という茶店が、今は廃屋になっていた。どうやら7~8年前に閉鎖されたようだ。月日が経つのは早いものだ、十数年前にここへ来たときにはまだ営業していたんだが…。乙女峠の金時山寄りには休憩地でベンチが幾つか置かれている。ここで行動食などを取ってしばらく休憩する。箱根側からは続々と登山者がやってきて金時山方面へ向かう。われわれのように丸岳へ向かう人は少ないようだ。

セキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字)。シソ科で草丈40~100cmの多年草。山地の林内や林縁に自生し、やや湿り気のある明るい日陰を好む。花期は9~10月。淡青紫色の細長い花を下向きに数多くつける。名前の由来は秋に咲く「丁」の字に形が似た花であり、箱根に多く見られることから関屋(関所の番小屋)の名がついた。また西日本では同じ仲間の「秋丁字」が多く生える。

マーガレットを思わせる、リュウノウギク

乙女峠は標高1,005m。箱根山の外輪山で金時山と丸岳との鞍部にあたる。古来より箱根越えの最も古い峠で、日本武尊の東征路にあたったとされる。富士山の眺望にも優れており富士見三峠の一つとされる(他は御坂峠と薩埵峠:さったとうげ)。1964年(昭和39年)に御殿場と箱根間に国道138号線(乙女トンネル)が完成している。江戸時代には小田原藩がここに番所を置き旅人が通行の際は足止めをされた。それで「御留峠」と呼ばれ、後に「乙女峠」へと転じた。また別の言い伝えによると、「箱根仙石原に孝行娘がおり冬の間、峠の地蔵に百日参りをしていた。父の病気平癒祈願のためだったが、その満願の日の帰りに雪中で凍死したという。それを聞いた村人たちは娘の霊を供養するために乙女峠と名付けた。」という。

リュウノウギク(竜脳菊)。キク科の多年草。花期は10〜11月で高さ40〜80cmほど、日当たりのよい丘陵や山地に生える。箱根にも数多く見られ、花は白色がほとんどだが中には淡紅紫色のものもあった。白い野菊は判別が難しいが、この花は簡単に見分けられる。葉は菊に似た深い切れ込みがあり、葉を揉むと樟脳に似た香りがある。花径は比較的大きく3~5cmほど。白い丸みを帯びた花弁(舌状花)が十数枚あり、真ん中の管状花は黄色で園芸種のマーガレットに似ている。名前の由来は葉をもんだ時の匂いが竜脳に似ているのでこの名がある。なお竜脳は竜脳樹から採る香料のこと。秋にこの草を採取して乾燥し風呂に入れて冷え症・腰痛・リュウマチに用いたという。

山のひょうきん者、ツチグリ

乙女峠からは山道らしい雰囲気のいい道が続く。勾配もきつくは無く緩やかに登って行く。紅葉にはまだ幾分早いようだが、ところどころにモミジの色づいたのが出てくる。振り返ると金時山の手前の長尾山が大きく見えてきた。
ツチグリ(土栗)。ツチグリ科のキノコで土柿ともいわれ何種類かある。英語で「earthstar:地上の星」、中国で「地星」ともいう。色は灰色や褐色から濃褐色で夏から秋にかけて、山地の崖や雑木林の地上に群生する。幼菌時は土に少し埋もれ球型だが、成長すると外皮が開き6~10片ほどの星型に分かれる。それがまるで海のヒトデを思わせるユニークな形になる。胞子は袋の先端の穴から放出される。乾燥すると丸まり風に飛ばされて移動し「晴天の歩行者」ともいわれる。湿度の変化で外皮が閉じたり開いたりするので外国では「星型の湿度計」ともいわれるとか。日本各地で呼び名があり「ケーコロ」「コロベ」「マメダンゴ」「ママダンゴ」等々。タイ国や東南アジアではカレーなどに入れたり、缶詰にもされ日本にも輸出されている。日本ではあまり食べられないが、地方によっては幼菌を食用とする場合がある。

ツチグリ

これから外皮がひらくのだろうか?帽子をかぶり両手を広げたようにも見える。ユーモラスな形だ。


長尾山と金時山

更に登って行くと長尾山の右側に金時山も見えてきた。

赤色が映える、ミヤマシキミの実

ミヤマシキミ(深山樒)。ミカン科の常緑低木で雌雄異株。山地のやや薄暗い場所を好む。花期は4~5月で雌株に白い小さな花を沢山付ける。花は地味なのであまり目立たないが、秋には直径8~10㎜ほどの深みのある真っ赤な実を付ける。枝葉実とも有毒なので鹿も食べない。名前の由来は葉の感じがシキミ(樒)に似ているため。庭木としても栽培されている。

丸岳への尾根道

乙女峠から40~50分ほど歩くと丸岳の電波塔が見えてきた。電波塔は高くて大きく正式にはNTT丸岳無線中継所といい、これがあるので麓からも丸岳だというのが直ぐ分かる。丸岳山頂は名前の通り広く丸くなっている。休憩用のテーブルとベンチが2台設置されているが、ベンチがやけに高く座ると足が届かないのだ。足を置く台が欲しい位だ。贅沢いうわけではないが、どうしてこのような形になったのやら。丸岳の東側から南側にかけて開けており芦ノ湖や仙石原、台ヶ岳や神山、外輪山の山々が見える。そして静岡県側には富士山麓と駿河湾を望むことができる。だが今日は曇り空で富士山と海は見えなかった。また三角点 (1,093.7 m) は丸岳山頂(1,156m)から西側へ630mほど離れた静岡県側にある。山頂の案内板には「西側には、標高1,097.3メートルの寄生火山を持っています。」と記されているが、国土地理院の地形図では1,093.7 mとなっている。


明神ヶ岳(上方左)と明星ヶ岳(上方右)

丸岳(まるだけ) 山頂案内板より
古期外輪山の一つです。東側は急なカルデラ壁で、仙石原を眼下に望み、壁下部には箱根火山の初期噴出物が見られます。西側には、標高1,097.3メートルの寄生火山を持っています。

箱根山の火山活動は40万年前から始まる。約25万年前には古箱根火山が形成される。約18万年前に古期外輪山である塔ノ峰、明星ヶ岳、明神ヶ岳、丸岳、三国山、大観山、白銀山など海抜1,000m前後の山ができた。金時山は外輪山でなく古箱根火山の山腹から出た側火山である。 約5万2000年前には「新期外輪山」である浅間山、鷹巣山、屏風山などができた。約3000年前には大涌谷が生まれ、仙石原ができ、芦ノ湖が誕生し、これがほぼ現在の箱根になっている。

神山と噴煙を上げる大涌谷。手前はゴルフ場

芦ノ湖と外輪山の三国山(中央)

仙石原のススキの原

丸岳から見ると仙石原のススキの原も小さく見える。写真の三角形の部分がススキの原である。ススキの原の三角形の下の方に車道が右から左に走っている。また三角形の上部に斜め上に伸びるのが遊歩道である。単眼鏡でのぞいてみたらゴマ粒のような人達が歩いていた。

リュウノウギク

乙女峠から丸岳までは登山道が良くて楽しんで歩けたが、丸岳からは途端に道が悪くなった。何しろオーバーユースで道が荒れているのだ。登山者の歩く道に雨が降り水が流れ、何十年も続くと次第にえぐれてくる。極端な場合は1~2mにも及ぶことがある。登山者はそのえぐれて小さな谷や溝のようになった道を避けて脇を歩く。そして益々荒れてくる。だから費用を掛けて整備しないと解決しない問題なのだ。だが財源がどこにあるのか?多分それでいつになっても解決しないのだ。ただそれとは別に、日当たりの良い尾根道なので秋の花が沢山咲いていた。リュウノウギクやリンドウなどが次々に出てきて楽しめた。

木の実と神山

尾根道の紅葉

明るい尾根道に咲く、リンドウ

リンドウ(竜胆)。リンドウ科の多年生植物。高さ30~70cmほどで花期は秋。日当たりのよい山地や林床に生える、代表的な秋の山野草である。花は晴天の時だけ開き、釣り鐘型の青紫色で茎の先に上向きに幾つか咲かせる。リンドウはフデリンドウやハルリンドウよりもはるかに大型で秋に花をつけるので容易に区別できる。名前の由来は漢名「竜胆」の日本語読みの「りゅうたん」が転訛したことによる。 漢名の「竜胆」は、根が竜の胆のように苦いことから。 リンドウの根を天日乾燥したものが生薬の「竜胆」で、食欲不振や消化不良などに効用のある苦み健胃薬とされる。


ヤマボウシの実

ヤマボウシ(山法師)。高さ5~10mになるミズキ科の落葉中高木。6~7月の夏に白い清楚な花を付ける。果実は9月頃に赤く熟し、直径1~3cmの球形で食用になる。果肉はやわらかく黄色から橙色や赤色になりマンゴーのような甘さがあり果実酒にも適する。箱根はヤマボウシの木が多いことで有名であり、今回の下山路でも実が山道に絶えることなく落ちていた。名前の由来は花の形状を山法師(僧兵)の坊主頭と頭巾(白い総苞片)とに見立てたもの。

歩いた道を振り返る。車道は箱根スカイライン

外輪山の登山道に沿うようにして箱根スカイラインがある。車はそれほど多くは通らない。車道が登山道と隣接するところも何ヶ所かあるがほとんど気にならない。オーバーユースの悪路に難儀しながらも長尾峠を越えた。更にアップダウンをこなすと草原の台地に着いた。標柱には富士見ヶ丘公園とあった。見晴らしの良い所だが富士山は裾野付近だけが薄っすら見える。抜きつ抜かれつしていた夫婦とおぼしき中高年ペアが到着した。男性のほうが雲に隠れている富士山を見て、私たちに話しかける「天気が良ければね~」と。私は連れに向って「また来ればいいや~」と言ってみたが、それは今年の冬か来年か?

外輪山の目印、丸岳遠望

富士見ヶ丘公園から振り返ると歩いてきた丸岳が遠くに見える。直線距離でわずか3km程度なのだが随分遠くに見えるもんだ。時々日差しが出ると少し紅葉した山々が輝いて見える。

マユミの実

マユミ(真弓)ニシキギ科の落葉小高木。別名ヤマニシキギ(山錦木)とも呼ばれる。山野に普通に生える。花期は初夏で新しい梢の根本近くに薄い緑で四弁の小花を付ける。実は秋から冬に目立つ。朱色がかった四角い果実で淡紅色に熟すと、4つに裂け仮種皮に包まれた赤い種子が現われる。木の質は白くて緻密で狂いが少なく粘りがある。名前の由来は古来よりマユミの木で弓をつくったことから。

350年ほど前に開発された、深良水門

湖尻峠から湖尻水門へくだる。下りの最初から最後までヤマボウシの実が落ちていた。標識には20分とあったが慎重にくだったためか25分かかった。下りきったところが車道で箱根湖畔ゴルフコースのクラブハウスの前だった。車道を左に50mほど行くと右手に深良水門が見えてくる。車道を右折して深良水門へ向かう道を行く。深良水門の通路をわたり芦ノ湖の湖畔を歩く。

芦ノ湖は神奈川県に在るが、湖水の権利は静岡県に有るという不思議な湖なのだ。但し災害などの緊急時は神奈川県でも使用できる。過去の歴史により芦ノ湖の水は静岡県側に水利権があるのだ。江戸時代の小田原藩駿河国深良村(現在の静岡県裾野市深良地区)の農民は慢性的な水不足に悩まされていた。そこで深良村の名主である大庭源之丞は芦ノ湖から水路を掘って水を引くことを思いついた。資金提供する江戸商人の友野與右衛門と共に江戸幕府と小田原藩及び芦ノ湖の水利権を有する箱根権現の許可を得て工事を開始する。江戸時代前期の1666年に工事が開始された。そして多くの困難を乗り越えて4年後の1670年に完成した。この工事にかかった費用は現在の50~60億円相当とみられ、工事人夫は述べ83万人と推定される。それ以来350年近くになり現在も灌漑・上水道、防火用水・発電などで芦ノ湖の水は使用されている。深良(ふから)用水は、芦ノ湖の湖水を静岡県裾野市に引くために造成された灌漑用水路で箱根用水とも呼ばれる。全長は1280mで芦ノ湖の水門から湖尻峠付近の地下を通り深良川に注いでいる。深良用水の出口付近には「深良用水の碑」がある。

芦ノ湖畔の木の上に止まるカラス

芦ノ湖畔の湖尻周辺は「芦ノ湖キャンプ村」であった。テント場にはテントが幾つか張られており、オートキャンプもできるようだ。大きな炊事場やバーべキューテーブルなどの施設も充実しているようだ。桃源台へ向かう途中の立派なバンガローは別荘風コテージと言うそうだ。道の両側に何棟も建てられていた。昔のバンガローとは大違いだ。コテージには家具や家電が備え付けられ、ベッドや布団が用意されている。キッチンには調理器具もあり食材(要予約)や飲み物も現地で調達できる。それなので別荘風なのだろう。大人数の家族やグループの利用に向いているようだ。深良水門から15分ほどで桃源台のバス停に到着した。

乙女峠~丸岳~長尾峠~桃源台のコース断面図

コースタイム 歩行4時間 休憩1時間20分 距離9.5km 累積の登り760m 下り-824m
JR御殿場線・御殿場駅(バス:時刻表では8:50発)9:05~9:20乙女峠バス停9:25→9:30登山口9:35→10:15乙女峠10:25→11:15丸岳11:45→12:36長尾峠→富士見ヶ丘公園(休憩10分)→13:58湖尻桃源台分岐→14:22車道14:27→14:45桃源台(バス)15:00~小田原駅。


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