2019年(R1)9月28日(土)単独

渋沢駅~四十八瀬川~三廻部~県民の森~黒竜ノ滝~大倉バス停のGPS軌跡

渋沢駅~四十八瀬川~三廻部~県民の森~黒竜ノ滝~大倉バス停のGPS軌跡

今年の1月に松田町寄(ヤドリギ)へ蝋梅を見に行った。その帰りに土佐原林道から中山峠を経て渋沢駅まで歩いた。その時、丹沢表尾根がよく見える三廻部を通った。三廻部は四十八瀬川沿いに集落があり、多くが平地で田や畑のようだ。そしてまばらな集落のほとんどは農家なのだろう。この三廻部の奥まで歩いて四十八瀬川を渡り、黒竜ノ滝を見てから大倉まで行きたいと思っていた。今年の彼岸花の開花は例年より1週間ほど遅いようだ。開花のタイミングを見計らって四十八瀬川堤防道から歩いてみた。

渋沢駅北口のペデストリアンデッキから見た富士山

渋沢駅北口のペデストリアンデッキから見た富士山

小田急線渋沢駅北口へ出ると直ぐにペデストリアンデッキがある。そこから左方向の一角に富士山が見えた。デッキの向こう側に渡り、駅前道路を左(西)方向に歩く。道なりに15分ほど歩くとやや広い道路に突き当たるので右折する。3分ほど歩くと国道246号に出るので左折する。100mほど進んだところの歩道橋で246号を渡る。左の小径を行くと御嶽神社の鳥居が出てくる。神社を奥に進むとその先に下る道がある。下った道を折り返すように左折する。道路に突き当たるので、その先を折り返すように右折して進む。最初の路地を左折すると広い道路に出る。そのまま進むと前方に四十八瀬川に架かる甘柿橋が見える。この橋の手前を右折すると堤防道だ。渋沢駅から堤防道まで30~40分ほどである。

四十八瀬川の流れと川辺に咲く彼岸花

四十八瀬川の流れと川辺に咲く彼岸花

四十八瀬川(しじゅうはっせがわ)は、神奈川県秦野市を流れる酒匂川水系の河川である。丹沢・鍋割山や塔ノ岳を源流とする水の流れは新松田駅南部で酒匂川と合流して相模湾に注ぐ。 四十八瀬川はたくさんの瀬がある川ということが由来のようだ。堤防道を歩いてみると川が見えるところは一部である。しかし見えるところでは深い淵はなく瀬であった。だから何本もの川筋があるのではなく、一本の川に多くの瀬があるという意味なのだろう。堤防道スタート地点の甘柿橋から才戸橋までは1.5㎞ほどある。その※左岸(上流に向かって川の右側:東側)に堤防道があり、その脇にわずかな平地を利用した田んぼが作られている。今は黄金色に色づいた稲穂が実り収穫の時期なのだ。その堤防道や田んぼの畔道の脇を真っ赤な彼岸花が彩る。 ※登山用語で川(沢:谷)の下流に向かって右側を「右岸」、左側を「左岸」という。

四十八瀬川の堤防道と丹沢表尾根(中央右は三ノ塔)

四十八瀬川の堤防道と丹沢表尾根(中央右は三ノ塔)

堤防道のスタート地点は幅広く両側に彼岸花が咲き前方に丹沢表尾根が望める。左側に四十八瀬川が流れ、右側に水田や畑がある。

四十八瀬川の堤防道から丹沢(二つのピークの右が塔ノ岳)

四十八瀬川の堤防道から丹沢(二つのピークの右が塔ノ岳)

堤防道は広いところもあり狭いところもある。堤防道が一旦切れて再び上るところもある。堤防道とはいえ樹木や草むらに覆われて四十八瀬川が見通せないところが多い。しかし前方は開けているので丹沢の山波がよく見える。

堤防道脇の田んぼに生える彼岸花

堤防道脇の田んぼに生える彼岸花

黄金色の稲穂が実り稲刈りの真っ最中だ。農家の人たちが作業をしている。田んぼの畦道のかたわらに咲く彼岸花が鮮やかだ。

堤防道脇の田んぼは稲刈り中

堤防道脇の田んぼは稲刈り中

堤防道沿いの狭い水田なのだ。手前の田んぼには刈った稲束が置かれている。その向こうでは稲刈り機で稲刈りの作業をしているようだ。

堤防道からみた丹沢(右端が塔ノ岳)

堤防道からみた丹沢(右端が塔ノ岳)

丹沢・塔ノ岳が右端に見える。その左のピークは金冷やしからの大倉尾根だ。正面のなだらかな山陵は鍋割山稜だ。鍋割山は写真の更に左側で見えていない。左下の橋のようなものは新東名高速道路の道路のようだ。現在工事中で才戸橋の北側に新たな橋の新設工事がされている。

堤防道終点の才戸橋付近に咲く彼岸花

堤防道終点の才戸橋付近に咲く彼岸花

才戸橋が近くなりその少し手前に彼岸花が群生していた。二人の男性が熱心に彼岸花を撮影していた。これは彼らの邪魔にならないように通りすがりに撮った一枚。才戸橋を渡り向こう側にでる。ここから先、黒竜ノ滝まで四十八瀬川を渡る橋はない。そのため川の右岸(上流に向かって川の左側:西側)を歩くことになる。新東名高速道路の工事中でその下を通って先に進む。最初の堤防道と違ってこちらにはほとんど彼岸花はなかった。10分ほど歩いたが道がなくなり抜け道も見当たらない。やむなく引き返すことにした。

標識「県民の森」。三廻部地区の分岐(左は県民の森への車道。右は農道で行き止まり道)

標識「県民の森」。三廻部地区の分岐(左は県民の森への車道。右は農道で行き止まり道)

才戸橋に戻り三廻部に向かって車道を歩く。歩道がないので歩きづらい。新東名高速道路の工事個所を通り少し行くと標識のある分岐に出た(上の写真)。ここは右の農道に進む。 三廻部(みくるべ)は四十八瀬川の上流域に当たる農業地域である。鍋割山の南側から流れる四十八瀬川が秦野盆地に出て流れが緩やかになる辺りに100世帯ほどの集落が固まっている。 その昔、三廻部村金沢より金銀砂がとれて家屋も数百戸となりにぎわったという。そこで1558年(永禄元年)観音院が当地に移されてきた。釈迦堂の釈迦牟尼仏の廻りを三回めぐるのが信仰の習わしで村名の由来と言われている。また三廻部バス停近くの田畑の中に「頼朝はん」と呼ばれる石碑がある。これは源頼朝を慕う里人が築いたと言い伝えられている。

三廻部地区の農地に咲く彼岸花

三廻部地区の農地に咲く彼岸花

三廻部地区の農道に咲く彼岸花

三廻部地区の農道に咲く彼岸花

四十八瀬川の川岸の腐木に生える赤いキノコ

四十八瀬川の川岸の腐木に生える赤いキノコ

標識のある分岐から農道に入り、数戸の民家を抜けると両側が農地の開けたところに出た。500mほど田んぼや畑が続いている農道を歩く。舗装されていた農道が終わると砂利道に代わる。そして森の中に入っていくと農道はなくなり踏み跡に変わった。その左側には50㎝幅の水路が造られ勢いよく水が流れている。どうやらこれは灌漑用の水路のようだ。やがて階段が出てきてそこを上る。鹿やイノシシ除けの柵を開け中に入る。転落防止のワイヤーロープがあり、そこを過ぎて斜面を下ると四十八瀬川の河原にでた。どうやらここまでの踏み跡は灌漑用の水路のためのようだ。

前方には沢の堰堤が見える。左側は崖状の斜面で行止りとなり撤退する

前方には沢の堰堤が見える。左側は崖状の斜面で行止りとなり撤退する

なんということだ。ここから先に道はなくなっていた。予定を立てるときに国土地理院の地形図でも確認したのだが、確かに道は途切れていた。ただ林道へ向かう踏み跡ぐらいはあると思ったのだ。沢の前方に堰堤から落ちる水が滝のようになっている。とても沢伝いには前進できそうにもない。GPSで見ると林道は西側の直ぐそばにある。しかし西側の斜面には獣道らしきものはあるが急で登れそうにもない。どうしたものか?まずは水を飲み行動食のアンパンを食べた。周りの状況を見て地図とGPSでも確認した。そして、やむなく元の標識のある分岐まで戻ることにした。後で調べたところ河原と林道の標高差は45mほどであった。戻る途中でも林道への抜け道はないかと探してみたが見当たらなかった。

表丹沢県民の森付近の針葉樹林

表丹沢県民の森付近の針葉樹林

元の標識のある分岐に戻り、気を取り直して県民の森に向けて歩き出す。直ぐに老人ホームの前を通る。分岐から十数分で前方に白い大きな病院が見えてきた。三廻部病院だ。普通の診療科もあるが、アルコール依存症の患者にも対応しているようだ。この病院の周辺はコンビニも酒屋も何もない所だからいいんだよね。だからこの立地は患者にとって最高の場所!更に進んで行くと山の中に入って行く。先ほどの撤退個所付近も確認した。まあ、無理して登らなくてよかったかな。林道は次第に急になってくる。途中で見事な針葉樹林が林道の両側にあった。標識から1時間近くかけてようやく表丹沢県民の森入口に到着した。駐車場は小さく入りきらない車が路上駐車していた。ここへ車を止めて鍋割山へ行く人が多いのだろう。入口から直ぐの所にトイレや東屋に水道(飲料不可)があった。ここで20分ほど休憩して行動食をとる。

表丹沢県民の森入口前にある黒竜ノ滝への道標

表丹沢県民の森入口前にある黒竜ノ滝への道標

表丹沢県民の森 表丹沢県民の森は塔ノ岳への登山道として知られている大倉尾根の西側に位置する。山の斜面にあるので急な登り道もある。県民の森入口から櫟山までは標高差360m、最上部の栗ノ木洞までは460mほどある。森林内には芝生の広場やあずま屋など休憩できる場所も多くある。また「かしわの森」「みずきの森」「しでの森」「あぶらちゃんの森」「笹地の森」という五つの森がある。それぞれに特徴があり「しでの森」は新緑と紅葉が美しく「笹地の森」は丈の低い笹が斜面を覆っており不思議な風景が広がっている。森にはいくつもの遊歩道が設けられており、森の中を楽しみながら檪山(くぬぎやま:810m)まで上ると展望が開ける。 県民の森入口前に写真の道標がある。黒竜ノ滝へは林道から急な階段を下っていく。

県民の森から四十八瀬川に下り、木橋を渡り黒竜ノ滝へ向かう

県民の森から四十八瀬川に下り、木橋を渡り黒竜ノ滝へ向かう

木の階段を5分ほど標高差で50mほどを下る。下りきると四十八瀬川にかかる木橋が出てくる。だいぶ以前に造られたものらしく所々腐っている。一歩一歩注意して渡る。前方に進むと直ぐに一筋の滝が見えてきた。黒竜ノ滝だ。

落差15mの黒竜ノ滝

落差15mの黒竜ノ滝

黒竜ノ滝は木橋から100mほどの所にある。それほど大きな滝ではないが、周囲が黒い岩肌なので白い滝が引き立つ。ここで撮影のために10分ほど休憩した。 黒竜の滝 落差15mの涸れることのない滝で、夏でも冷気がただよっています。名前の由来としては滝の近くに「黒竜さん」という祈祷師の庵があったためというのが有力です。明治の初めの頃、「黒竜さん」という祈祷師の庵のようなものがあり、山深いにもかかわらず、とても繁盛していて、大山さんや道了尊にも引けを取らなかったといわれています。現在、その跡すら残っていませんが、これはある嵐の晩に山が崩れて一挙に押しつぶされてしまったという説や「黒竜さん」も大山と同じく女人禁制でしたが、女の人が一人いたため、取り潰され火で焼かれたという説があります。 滝から少し戻りジグザグの登りになる。標高差60mほどだが登りなので休み休み行く。そして西山林道にたどり着いた。ここからは良く整備されたほとんど平坦か緩やかな下り道だ。1時間近く歩いて大倉バス停に到着した。

大倉バス停、秦野戸川公園の水無川にかかる風の吊り橋

大倉バス停、秦野戸川公園の水無川にかかる風の吊り橋

秦野戸川公園 神奈川県立秦野戸川公園は、神奈川県西部に位置する広さ50.7haの都市公園です。公園は、表丹沢の山々と秦野盆地に囲まれ、公園の中心には、丹沢の山から湧き出る水無川(みずなしがわ)が流れています。高さ35m、長さ267mの公園のランドマーク「風の吊り橋」でつながれた水無川の両岸には、「子供の広場」「バーベキュー場」「お茶室」 「自然観察の森」「多目的グラウンド」などがあり、美しい丹沢の山並みを背景に一日中楽しめます。神奈川県立秦野戸川公園HPより

風の吊り橋は秦野戸川公園の巨大な建造物でありシンボルである。そして、いかにも風が通り抜けそうな橋の名前である。この橋は神奈川県立秦野戸川公園に設置された歩道橋であり1997年(平成9年)に完成した。公園の中心部には塔ノ岳から三ノ塔を水源とする水無川が流れている。この水無川に架けられた長さ267m、高さ35m、幅4mの長大な吊り橋なのだ。吊り橋を支える塔の高さは河原からだと50mほどの高さになる。橋桁は鋼製だが塔はコンクリート製で重厚な外観は全面石貼りで周囲の景観にマッチしている。「風の吊り橋」の名前は丹沢から吹き下ろす風の通り道となっていることに由来している。なお、水無川は秦野盆地で水流のほとんどが地下に伏流する。このため水の無い川なので「水無川」と名付けられた。水無川は下流で金目川、花水川に合流し平塚~大磯間あたりで相模湾に注ぐ。

渋沢駅~四十八瀬川~才戸橋~三廻部~県民の森~黒竜ノ滝~大倉のコース断面図

渋沢駅~四十八瀬川~才戸橋~三廻部~県民の森~黒竜ノ滝~大倉のコース断面図

コースタイム 歩行5時間30分(行止り道往復2か所、1時間30分を含む) 休憩30分 距離17.3㎞(行止り道往復2か所、3.7㎞含む) 累積の登り974m 下り-859m
小田急線渋沢駅8:00→四十八瀬川堤防道→9:05才戸橋(行止り道往復25分)→9:50標識「県民の森」(行止り道往復1時間5分)→12:00表丹沢県民の森12:20→四十八瀬川→黒竜ノ滝(休憩10分)→12:53西山林道→14:00大倉バス停(戸山公園散策:バス)~渋沢駅

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